カリキュラムの詳細

基礎分野

命現象の理論を学ぶ。

基礎分野は、科学的思考と医療人としての人間性を養う基盤となる科目で、大きく分けると自然科学系科目、人文・社会科学系科目、外国語科目に区分されます。
自然科学系科目は自然現象を理解するための科目で、特に化学や生物学の基礎知識は、生命現象を理解し専門科目を学習する上で不可欠です。高校で学んだ数学や理科の内容が土台となりますので、高校の復習も含め、専門科目への橋渡しができるように学習内容を工夫しています。
人文・社会科学系科目では、人間がつくる社会のしくみや個人と社会との関わりについて学ぶ社会学、コミュニケーション能力を養うための心理学、自己表現力 を磨くための国語表現法を履修します。就職活動をする上で、又社会人として、更にはチーム医療の一員として必要な資質を身につけるための科目を設定してい るのが特長です。
外国語科目は、国際社会に対応するために欠かせない英語に加え、医学用語の随所にみられるドイツ語を学び、専門用語の理解を深めます。
臨床検査技師は、チーム医療の一員として人間の命に関わる大切な仕事を担っています。基礎分野をしっかりと学び、臨床検査の専門家としてだけではなく、広く深い教養を身につけ、豊かなこころを備えた社会人として、医療に貢献して欲しいと願っています。

専門基礎分野

臨床検査に関する基礎知識と基本技術を習得。

医用工学概論

現代の医療技術においては、心電図や脳波計、超音波診断装置、コンピューターなど精密機器やエレクトロニクス機器などを駆使して検査や診断を行っております。このような検査や診断に関する医用機器についての基本的原理や操作方法などを学びます。

情報科学

ICT技術(Information and Communication Technology)はインターネットを軸にコンピュータと周辺機器のハードウエア、ソフトウエア、情報通信などの技術革新を背景に飛躍的な進歩を遂げ てきました。臨床検査をはじめ、医療の分野においてもこれらの技術が導入され、利用されています。情報科学では、情報処理技術の基礎として情報の定量的取 扱い、コンピュータ内部での情報表現や暗号化技術を学び、システムを構成するハードウエア、ソフトウエア、ネットワークの構造や機能、仕組みさらに医療へ の応用の現状を学びます。

専門分野

プロフェッショナルとしての実践力と応用力を身につける。

臨床検査総論

尿・便・喀痰・胃液等を検体とした検査は、病院では一般検査と呼ばれます。誰でも一度は受けた事のある尿検査は、患者さんに負担を掛ける事なく採取でき、 貴重なデータが得られます。学童集団検診や人間ドックでも必ず検尿は行われますね。また、病院受診時も、まず初めは尿検査です。検査総論では、多岐に渡る 臨床検査の第一歩となる、一般検査の技術と各疾患との関連性について学びます。

血液検査学

皆さんは貧血気味と診断された事はありませんか。鉄分不足で小さい赤血球が出現しているかもしれません。貧血や白血病では赤血球や白血球の増減が見られ、 重症の肝疾患では血液凝固異常により、出血傾向が見られます。血液検査学ではこれら様々な血液疾患の病態と、診断の補助となる形態検査、凝固因子検査につ いて学びます。

臨床免疫学

人の体には、細菌やウイルスなどの微生物の侵入に対して、防御するシステム(免疫機構)が備わっています。この防御システムで産生される病原体(抗原)に 対する液性因子(特異抗体)の有無や種類の測定には免疫学的検査法が用いられます。免疫学的検査法からは梅毒やウイルス性肝炎、エイズ(後天性免疫不全症 候群)などの感染症の診断や治療に必要不可欠なデータを得ることができます。さらに、輸血や臓器移植の適否、アレルギーや癌、自己免疫病など多くの疾患の 診断に際しても欠かせない検査法となっています。臨床免疫学では、この防御システムを理解するとともに免疫学的検査法の理論や原理、さらには免疫学的検査 法から得られた検査データと疾患の関連について専門的に学びます。

病理検査学・臨床病理学

臓器や組織は炎症や腫瘍等によって形態を変化させます。この病態を診断するのが病理組織診断学で病理専門医が行います。たとえば胃の内視鏡で採取された胃 の粘膜の一部が潰瘍病変なのか悪性腫瘍(がん)なのか診断をするためには、採取された組織から、わずか数μ(ミクロン)[1μは1,000分の1mm]の 厚さのヘマトキシリン・エオジン染色や特殊染色が施された標本が必要となります。病理検査学では、この標本作製技術等を学びます。さらに患者さんに負担の 少ない検査として細胞診検査があります。子宮がんや肺がん検診のスクリーニング検査がその代表的なもので、臨床検査技師のうち更に認定資格を得た細胞検査 士が大きな役割を果たしています。細胞診検査学では細胞診検査の基礎的なことを学びます。

臨床微生物学

近年、我が国では、院内感染症や薬剤耐性菌の蔓延、高齢化や移植医療を背景とした日和見感染症、さらには、エイズ、C型肝炎、新型インフルエンザといった 感染症が大変問題になっています。臨床微生物学は、このような感染症の原因となる病原微生物の形態、構造、代謝、変異、生化学的な性状や病原性などを学び ます。また、これらの微生物の検出方法(同定検査や遺伝子検査)をはじめ、抗菌薬療法の考え方、実施方法(薬剤感受性検査)、感染の予防や無菌操作の基本 を学びます。

輸血学

手術時やその他疾患の出血などに対して、不足した血液成分を補う治療が輸血です。輸血は、他人の血液を体の中に入れることから、臓器移植にも匹敵する行為 です。したがって輸血をした時には副作用が起こることがあります。副作用や拒絶反応を予測し防止するための検査も臨床検査技師の仕事のひとつです。輸血学 では、一般的なABO式血液型をはじめとした様々な血液型があること、どのように検査を進めていくのか、どのような副作用が考えられるのかを学びます。ま た、臓器移植では更に重要となるのが白血球や血小板にあるHLAという型で、どのように作用するのか学んでいきます。

臨床生理学

患者の血液や尿などを用いる検査に対して、患者に接し直接生理的機能を測定する検査です。例えば、心電図検査により心筋梗塞や狭心症の診断に重要な波形を 得たり、超音波診断装置を用い体の各臓器の画像を得る等、疾患の診断に有力な検査です。この他、喘息などの診断に有効な呼吸機能検査やてんかんの診断や脳 死の判定に用いられる脳波検査等があります。このような検査の検査方法や得られた波形の評価について専門的に学んでいきます。

臨地実習

病院での実習で技術を磨き、即戦力に!

私は、旭川医大病院で実習を受けさせてもらいました。実習とはいえ、実際に医療の現場を体験するということで初めは緊張しましたが、先輩の技師さんはとても優しく、解らないことがあれば丁寧に教えてくれるので、毎日、楽しく実習を行うことができました。
実習を通して感じたことは、生理機能検査など実際に患者さんと接した時の接遇の大切さや検体検査では患者さんの検体を扱うので注意して検査を行わなければ ならないと思いました。また、基本的なことでは挨拶や言葉遣いの大切さ、積極的に取り組む姿勢が大事だと感じました。学校の授業や校内実習では経験できな い多くのことは、働いた時に絶に役立つと思いました。

大学病院の臨床検査部門は、正確な検査データを迅速に臨床側に提供するとともに、高度先進医療を支える最先端の検査を行う重要な役割を担っています。病院 実習では最新の検査機器を用いた検査や検査手法を体験し、実践的な検査法を学習します。また、心電図検査や超音波検査などの生体検査を受けられる患者さん や医師と接することで、医療従事者としての接遇も身につけていただきます。
当院では、ヘリコプターや救急車で救命救急センターに運ばれる患者に対し、輸血部門の臨床検査技師が、輸血用血液を救急現場に直接搬送し現場のサポートも 行っています。このような現場で自分たちが検査した血液が輸血されるのを目にすることは、緊急検査の重要性と病態理解には絶好の機会となります。こうした 医療についても病院実習で体験し、チーム医療としての臨床検査の重要性や責任の重さを理解していただきます。

病院実習では、学校で習ったことや教科書の文面だけではなく、実際の結果を見て疾患との繋がりを学ぶことができました。科目毎に理解するのではなく様々な 分野の検査を総合的に考えることが必要だと感じ、より一層知識を深めることができました。また、検査室内での業務内容を直接観ることができたことや他の医 療職種の方々との関わりを学ぶことができ、チーム医療についても知ることができました。
実習期間は長いようで短く、時間を有効に使い、国家試験に向けて取り組むことも必要だと思いました。

私は、北医専を昭和54年に卒業してから、臨床検査技師として働いています。この間、医療を取り巻く環境は年々厳しさを増してきていますが、臨床検査技師の必要性も増し、大変やりがいのある職業となっていると感じています。疾病を判定する上で、臨床検査データは無くてはならないものであり、それが故に正確で精度の高いデータを臨床側に提供しなければなりません。その裏側には、自分が検査データに責任を持って報告できるよう日々の研鑽が大事であると思います。辛くない職業は、何処にもありません。臨床検査技師になり、これからの医療界をいっしょに支えていきましょう。臨床検査技師免許取得=就職率100%です。